日本東洋医学会の指定している資格には、漢方専門医と認定医の2種類があります。

専門医は、広告に漢方専門医であることができ、認定医は広告を出せません。それは厚労省が決めたルールで、医療機関が広告を出すときにはそのルールに従わなければなりません。
しかし、ご自身のプロフィールに、日本東洋医学会認定医と堂々と書けるのであれば、それは素晴らしいことではないでしょうか。
世の中には漢方の名医がたくさんいらっしゃいます。中には漢方の専門医も認定医も資格は何も持っていないけれども名医の先生がいらっしゃいます。そんなことはよくあることです。一度は資格を取得したけれども更新の手続きをしなかったために、現在は資格をお持ちでないときもあります。それもよくあることです。そういうベテラン先生は、資格をお持ちでなくても患者さんが集まりますし、学会やメディアで多方面にご活躍です。それは本当に素晴らしいことです。
しかしやはり、専門医や認定医を取得した先生の努力は、輝かしいものだと思います。
医師免許さえあれば、漢方の処方をすることはできます。令和元年12月末での厚労省発表の統計で、日本の医師数は32万7210人です。そして日本東洋医学会の現在の会員数は8407人です。うち医師の数は6,881名です。そのうち専門医は2067人です。東洋医学会に入会してまだ3年たっていなかったり、基本領域の専門医取得がまだのため専門医試験を受けられない先生もいらっしゃるでしょう。そういう先生方を差し引いても、認定医を取得できる可能性のある先生は、3000人くらいいらっしゃるのではないでしょうか?
指定研修施設での研修が困難だという理由で、専門医を取得できないことを嘆いていらっしゃる先生もいらっしゃいました。その先生には、認定医の受験をおすすめしましたが、納得していただけませんでした。「広告できないのはつまらない」とおっしゃるのです。私自身も、認定医を考えた時がありました。町医者になってから専門医のことを意識したので、研修に行くのは大変そうだし、認定医でもいいかな?と思ったのです。漢方の勉強を楽しく気軽に行って、日頃の診療に役に立てることができればそれでいいので認定医でよいかと思っていたのです。私の場合は事情があって専門医をがんばりましたが、漢方専門医の受験を体験してみて、受験勉強自体が日頃の診療に大変に勉強になっていることを実感しました。町医者の仕事のかたわらの勉強でも、合格できました。私のような、あまり優秀でない頭脳(どのくらい優秀でないか別の項目でお話しします)でも合格できたのです!なぜなら、日本東洋医学会が、勉強して欲しいポイントをきちんと提示してくださっているからです。大学の入学受験ではないのです。選抜試験ではないのです。点数が達していれば全員が合格しても良いのです。学会のそういう優しい気持ちが試験問題にあふれていました。漢方の処方で失敗のないように、これだけは勉強してね、という暖かい気持ちで作られている試験問題でした。ただひたすら、緑の問題集を勉強すれば良いのです。
というわけで、東洋医学会会員の皆様。きっと合格できます!
是非、認定医を取りましょう!
さて、認定医を取得するための具体的な方法についてお話しします。
専門医をめざしていらっしゃる先生方は、指定医療機関で指導医からご指示があると思いますので、ここでは認定医に関してだけお話しします。
認定医認定制度
- 認定医とは
- 受験資格
- 認定方法
- 更新年限
- その他:広告は不可
- 一次審査(書類審査)
- 一次審査の注意点(私の失敗)
- 二次審査(筆記・面接試験)の日程
1.認定医とは
広告可能な資格としては認められないものの、漢方を目指す医師の意欲を向上させるべく、2006年(平成18年)より制度が発足しました。日本専門医制評価・認定機構が定めた基本領域の専門医または認定医の資格をお持ちでない方も取得することができます。
2.受験資格
- 日本の医師免許を有し、受験申請時において医籍登録後3年以上経過した者(歯科医師は除く)。
- 会費を完納している正会員であること。
- 受験申請時において3年以上継続して本学会正会員である者(申請締切日を基準に満3年以上必要とする)。
- 受験申請書類提出までに取得した単位が受験申請時の前5年度または正会員入会年度のいずれか遅い年度の始めから起算して通算7単位以上(学術総会及び医療倫理・医療安全講習会出席は必須)であること。
上記、学会からの転記でした。ポイントは、5つです。
- 日本東洋医学会の正会員になって3年以上継続している
- 基本領域の資格が不要
- 指定研修施設での研修が不要
- 広告はできない
- 一次審査で提出する書類が専門医より少なくてよい
基本領域の資格とは、私でいえば、小児科専門医、ということです。
3.認定方法
1次審査:漢方医学的治療が有効であった30症例一覧およびそのうちの5症例の詳細な臨床報告についての審査
2次審査:筆記試験、面接試験(1次審査合格者のみ)
4.更新年限
5年毎に更新更新点数60点以上、30症例一覧
5.その他
厚生労働省による資格の広告は認められていません。
6.一次審査(書類審査)
漢方医学的治療が有効であった30症例一覧と、そのうちの5症例の詳細な臨床報告についての書類審査です。
今年の一次審査の受付期間は、2020年9月1日~9月30日です。
今から準備すればまだ間に合います!
書類の作成は、日本東洋医学会ホームページから指定されたものをダウンロードして作成します。
<症例選択について>
・漢方医学的治療が有効であった症例のみを選択。
・自分が主治医として処方や取穴を決定した症例のみ。自験例は不可。
・同一患者で期間を重複(または連続)して複数の処方を使用した場合は、1 例として報告。
・治療開始年月日と治療終了年月日を西暦で記載。
・学会に入会してからの治療例に限る。(専門医では専門医研修を開始してからの治療例)
その他、症例の選定の仕方や臨床報告の記載方法について詳細に示されています。
・漢方医学的用語の使用にあたっては、本学会出版物(専門医のための漢方医学テキストなど)を参考 にしてください。

7.一次審査の注意点(私の失敗)
思っていた以上に一次審査の準備に時間がかかりました!
専門医の場合、症例一覧50例と臨床報告10例を提出します。自分で治療した患者さんのことを書くだけだから簡単だろうとタカをくくり、1週間もあれば終わると思っていたら、これが大間違いでした。8月には余裕で終わっていたはずが遅れに遅れ、結局提出したのは、締め切りギリギリの9月末だったのです。11月には筆記試験だというのに、なんということでしょう!あわてました。
臨床報告は、所見の取り方について正しい書き方が求められています。古典の引用も必要です。鑑別点の記載もしなければなりません。
できれば指導医にあたる先生に見ていただきましょう。指導医がいらっしゃらない場合には、信用できる漢方製薬会社のMRさんにみてもらいましょう。
認定医の場合は症例一覧30例、臨床報告5例です。大丈夫!今からなら間に合います!
8.二次審査の日程
一次審査の合否は11月上旬に郵送されてきます。
そしていよいよ筆記試験、面接試験です。
2020年の二次審査の日程は、11月22日(日)12時~16時。
昭和大学にて。東京都品川区旗の台 1-5-8
今年は新型コロナウイルスの影響で学会総会が延期になり、試験もどうなるのかと心配していましたが(自分が受けるわけではありませんが)、このたび7月20日づけで発表されました。
新型コロナのために当日急に中止になる可能性もあると書かれています。
皆様も、当日のご予定によっては受験できないこともあるでしょう。
しかし勉強するのは自由ですよね!
是非、認定医取得に向けて勉強しましょう!
私も一緒に勉強させていただきます!
さて次回は、広告について深くお話しします。
令和2年7月現在、東京都足立区内で小児科の漢方専門医は私一人だけです。
オンリーワン! わーい😃
これは、今年だけ言える広告なのです。なぜかというと…?
次回の記事でお話しします。それではまた!
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