しんぶとう エキス剤30番
もとは玄武湯。玄武帝という皇帝のお名前と重複することを避けて変更した。玄武とは附子のこと。
<出典> 『傷寒論』少陰病
「太陽病、汗を発し、汗出でて解せず、其の人仍発熱し、心下悸、頭眩、身潤動、振振として池に擗れんと欲する者は、真武湯之を主る。(傷寒論、太陽病)」
「少陰病、二三日已まず、四五日に至って腹痛、小便不利、四肢沈重疼痛し、自下痢する者は、此れ水気有りと為す、其の人或は欬し、或は小便利し、或は利せず、或は嘔する者は、真武湯之を主る。(傷寒論、少陰病)」
<効能>
- 【ツムラ】新陳代謝の沈衰しているものの次の諸症:胃腸疾患、胃腸虚弱症、慢性腸炎、消化不良、胃アトニー症、胃下垂症、ネフローゼ、腹膜炎、脳溢血、脊髄疾患による運動ならびに知覚麻痺、神経衰弱、高血圧症、心臓弁膜症、心不全で心悸亢進、半身不随、リウマチ、老人性そう痒症。
- 【コタロー】冷え、けん怠感が強く、めまいや動悸があって尿量減少し、下痢しやすいもの。慢性下痢、胃下垂症、低血圧症、高血圧症、慢性腎炎、カゼ。
- 【三和】新陳代謝機能の衰退により、四肢や腰部が冷え、疲労倦怠感が著しく、尿量減少して、下痢し易く動悸やめまいを伴うものの次の諸症:胃腸虚弱症、慢性胃腸カタル、慢性腎炎。
- 【JPS】新陳代謝が沈衰しているものの次の諸症:諸種の熱病、内臓下垂症、胃腸弛緩症、慢性腸炎、慢性腎炎、じんましん、湿疹、脳出血、脊髄疾患による運動および知覚麻痺。
<使用目標>
- 少陰の葛根湯と呼ばれる。
- 裏寒虚証
- 冷えと水滞。陰虚証の水毒。
- 冷えを伴う全身倦怠感や身体動揺感
- 脈:沈、微弱、微細。ときに浮弱、遅脈
- 動悸
- 胃部振水音
- 臍傍圧痛
- 鶏鳴下痢…高齢者の明け方の下痢
<藤平健先生の使用目標>次の7つのうち一つでもあればOK。
- ふらっとする
- 雲の上を歩くよう
- 寄りかかりたくなる
- 斜行感…まっすぐ歩いているつもりでも横にそれそうになる
- 斜行…まっすぐ歩いているつもりでも横にそれる
- 地震感
- 横走感…目の前のものがサーっと横に走るようなめまい
<鑑別>
- 人参湯(32番)
- 小建中湯(99番)
- 苓桂朮甘湯(39番)
- 五苓散(17番)…五苓散は有余の水をめぐらし、真武湯は不足の水をめぐらす。
- 麻黄附子細辛湯(127番)
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(38番)